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理想に届かないゲーム内容『LOOP8(ループエイト)』感想文

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LOOP8感想文 エンタメ
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LOOP8

概要

マーベラスより2023年6月1日に発売された作品で、どこか懐かしさを感じる田舎『葦原中つ町(あしはらなかつまち)』を舞台とし、主人公のニニが8月の1ヶ月間をループしながら、仲間たちとともに人類を脅かす厄災『ケガイ』と戦うジュブナイルRPG。カレルシステムというAIによりゲーム内のキャラクターが動き、プレイヤーへの反応や、戦いの中での行動にも影響します。

クリアしたのでネタバレありで感想記事となります。ちょっと辛口めです。

変化のないループ

ある意味ループもの作品に期待するループごとの変化といった要素はほとんどありません。前の周回で仲良くなった分や鍛えた分は取り戻しやすいというだけで、シナリオやイベントなどに変化はなし。

このゲームでは、『ケガイ』と呼ばれる敵に取り付かれ交流できるキャラクターと戦うことになるのですが、その順番が変わるのが一番大きなループごとの変化要素。とはいえ、敵になるメンバーは同じなので順番が変わるだけ。戦闘メンバーが敵になったらどうしようとか思っていましたが、敵に回るのは一緒に戦えないメンバーだと察したので無用な心配でした。正直、そこもちょっと残念な要素。

個人的には、ループ進むとイベントが増えたり、キャラクターが増えるなどといった要素を期待していましたがそういうものは一切ありませんでした。

ちなみに私は、1周目は終盤で敗北、2周目は一人目の敵になったキャラクターを助けられず筋トレに没頭して次のループに向かい、3周目で全員生存トゥルーエンドとなりました。

簡単・かつ単調に上がる好感度

主人公のニニは、様々な選択肢によりNPCと交流することで仲良くなっていくのだが、基本「なかよくしよう」と言っていれば問題ない。一応他にも選択肢があり、選択肢毎に好感度と友好度などの上がり幅が違うようだが、特に気にする必要はなかった。

上がり幅も、ほどほどで仲良くなるほど一日に提案できる回数も増えるので、何十回も仲良くしようと話しかけていると、自然と好感度はカンストしていく。キャラクターごとに提案に対する好感度のあがりやすさなどの差もないようなので、それぞれの個性も感じられなかった。

不親切なシステム

タイトルから想像できる通りループものの作品だが、既読スキップがありません。スキップがないにしても既読・未読の区別はつけてほしかった。さらに、バックログのような機能もないため、読んだつもりで飛ばしてしまった会話を見返すことは次の周回までできません。

ループすると好感度・友好度が一定値に上がるたびに毎度同じ会話が発生するため、前のループで仲良くなったキャラクターからは同じ話を何度も聞かされる。これが結構な量があり、既読・未読の判断や、スキップ、バックログがないことが合わさり非常にプレイしていて煩わしく感じる。

NPC間のイベントの少なさ・不整合

このゲームではNPCとの会話イベントはキャラクターの好感度・友好度によって発生して進んでいく。それ以外の要素を判定していないのか、関係があるキャラクターの会話のタイミングがあっていないことがあった。

特にそれが顕著に感じられたのは、『マキナ』と『マックス』の二人。二人は親子でありながらも、マキナは、マックスの死んだ妹を模した機械としてつくられており、その関係性に悩んでいる設定がある。マキナサイドのイベントを進めると親子が和解したような話が効けるにもかかわらず、マックスが「マキナを交換すべきか…」と会話で言うことがあり、いろいろと台無し。

NPC同士が絡むようなイベントは多少は存在する。しかし、その多少のイベント以外は近くにいるときに一緒に会話(セリフなどはなし)が発生し、誤差レベルで好感度が変化するだけ。主人公以外のキャラクター間での好感度で発生するイベントもなさそうだったので、ループしても変化がなく面白みに欠ける。

戦闘の単調さ

最終的には、主人公を鍛えて殴り、今回のターゲットと仲の悪いメンバーは連れて行かない(なんなら連れて行かない)ことを意識しておけばさほど問題がなくとても簡単。

ただ、これに関しては戦闘はあくまでおまけでそれまでのキャラクターとの関係性の構築や、ニニ自身のステータスの上げを試す場と思ったのでそこまで気にならなかった。

ただ、味方同士の関係性で戦闘にも変化があるといった触れ込みをしていたので、そのあたりがほとんど実感できなかったのは寂しかった。

あまり意味のないカレンダーシステム

前の襲撃をクリアすると、またすぐにカウントダウンが始まりといった感じなので日にちの意味が感じられない。ゲーム的な意味があるのは、学校が休みになる土日程度。更に、特定の日に特別なイベントが発生するといったこともない。世界観的に夏祭りとかやっている場合ではないのかもしれないが、夏休みなのに特にイベントもないのでカレンダーにする必要はあったのかなという感じた。

狭い世界

プレイする前は、いける範囲も広がるのかなと思っていたが、最初にいけるエリアが世界のすべてでした。

主要キャラクターとして交流できるNPCしかゲーム中は登場しません。キャラクターのイベントで触れられるため、存在はしているようだがあくまで会話に出てくるだけ。

入れない職員室や他の教室のドアがあるだけなのに無意味に広がっている学校の廊下や、何やら意味ありげな場所ながら結局1キャラクターと戦うためにしか使われなかったエリアがあるのを見るに、色々やろうとしたけど時間足りなかったのかなと邪推してしまった。

狭い田舎を舞台としているので狭いというのはわかるが、行ける場所が増えることはちょっと期待してしまったので残念。

シナリオに向いていないシステム

メインヒロインの『コノハ』については、作中のラスボス的なポジションで、最後の会話の際に主人公『ニニ』が「また私を捨てるんだね…」といったことを言ってくる。ラストの選択肢までに、登場キャラクターが全員生存していれば、彼女と共に生きるトゥルーエンドに達する選択肢が増えるのだが、別キャラクターのEDや、彼女を捨てるEDを迎えていなくても行けてしまう。

他のキャラクターの会話を見るに、おそらくこのゲームをプレイヤーが操作する前にも周回があり、ニニがコノハ以外のキャラクターを選んだだろうことは推測できるのだが、それでもプレイヤー的には初めてのED分岐で『私、捨てられないの?』と言われてトゥルーに突入しても、プレイヤー的にはちょっと置いて行かれたような気持ちになりました。

また、自分たちの後ろ盾の神によりループが行われており、それを断ち切るというのがトゥルーエンドのお話なのだが、プレイしていてあまり実感がない。一応好感度によるNPCの会話を聞いているとそんなのニュアンスは感じられたのだが、具体的にイベントはなく、後ろ盾の神と戦うわけでもないので、個人的にはあまり実感がなくイベントの勢いに気持ちが置いて行かれた。

また、ラスボスにあたる『コノハ』のバックグラウンドなどについても、シナリオに絡むイベントで触れられることはない(一応、ニニの祖母にあたるテラスの好感度を上げているとそれらしい話は聞ける)ため、プレイヤーによってはなんかよくわからないままEDを迎えてしまう気がする。

下手にAIによる生活シミュレーション的なゲームにするより、テキストアドベンチャーゲームのような形で各キャラクターのルートごとにループするという形で進めていった方が話に没入できたのではないかという気がした。

それでも一周目は楽しかった

システムの不便さで同じ会話を繰り返し聞かされるので、ループを繰り返すたびにだんだんプレイするのがつらくなってくるが、一週目のプレイにおいて何が起きるのかまったくわからずワクワクさせられた。

特にメインヒロインに当たる『コノハ』については、毎朝会話する際に他の女の子と仲良くなったりしていると、ネクタイを強く締めてきて不機嫌になる。しかし、もうさらに会話をしていると手をつなぐ流れが発生し、機嫌が直り、友好度、愛情度がともに上がる。他にもコノハが、クニ先生にニニの恋愛事情をチクったことがクニの好感度の変化からわかるなどという点は面白かった。

また、女性キャラクターの『ミッチ』は、仲良くなった後に、他の女性と仲良くしてくると刺してくる。本当に不意に刺してきて、さらにループすら発生させないこのゲーム唯一のゲームオーバー(セーブが消えるわけではないので前のセーブまでは戻れます)。かなり突拍子もなく来るイベントなので、面食らいもするが、驚きがあり楽しい。どうすれば刺されないかセーブ&ロードで試すのは楽しかった。

グラフィックについても3Dキャラクターはとてもよくできており可愛い。さらに、各キャラクターのシナリオもそれぞれの話は面白かった。ただ、シナリオに関しては、ループによって特に変化がないのが残念。

評価

評価:1.5

事前に公開されたカレルシステムというAIが絡んだキャラクターとの交流や、ループによるやり直しでの変化などに期待したが、実際のゲームには生かしきれていなかったように思えた。練りこみ不足なのか、時間やお金が足りなかったのかわからないが、非常にもったいなさを感じる。不便なところも多く、ループによる変化も感じられずゲーム自体は☆1ですが、一周目の何が起こるのかわからないワクワク感は楽しかったので、☆1.5とします。

このゲームの発売前に発表されていた構想というか、やりたかったこと自体は、私もとてもプレイしてみたかったです。

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