2026年6月3日配信開始、週刊少年サンデー2026年27号で連載された龍と苺の最終回290話「お願いします」の感想記事です。ネタバレもあるので注意してください。
お願いします
最終回
いよいよ最終回となった本作、マッポとの竜王戦の対局が最後の試合という事はわかっていたのですが、思った以上にするりと最終回が訪れ、少し驚いてしまう。
今回のお話は、マッポとの対局を終えてのエピローグ。人類を滅ぼし次の生き物となろうとしていたマッポは、苺ちゃんに負けたことで人の可能性を知りそれを諦めることになりました。
AI相手の竜王戦を終えた苺ちゃん、その体ももう老齢で、更にマッポとの対局というある意味人としての限界を超えるような戦いの後という事もあり、最後の疲れた、しばらく休むという言葉が出た時には、思わずそのまま苺ちゃんの死をもって本作が終了するのかと思えてしまうシーンでした。
しかし、本作のラストはそれで終わりではなく、それでもなお生きている苺ちゃんと、タッキーとの会話で締めくくられる。タッキーに関しては、てっきり既に亡くなったものだとばかり思っていましたが、こちらもボケてはいるもののまだ存命であることが明らかになり、最後に二人の対局のあいさつで締めとなりました。
物語が始まった時は、若さ故、目標を見つけられず暴走していたともいえる苺ちゃん。爺さんと、将棋との出会いから、命を懸けてやりたいことを見つけ、最後までそれをやり切って駆け抜ける人生を描く作品。最後に、人生の師匠である爺さんの言葉で締めくくられるのが何ともしんみり来るお話となっていました。
そんな今回、ちょっと気になったのはタッキーの奥さんが誰なのかという事。タッキーのひ孫が登場し少し語っているシーンがありましたが、ひいばあちゃんについては、濁していましたが、果たして誰だったのでしょうか。単行本で何か語られたりするのかもしれません。
全体を通して
いよいよ今回最終回となった本作ですが、100年前のお話は、流石にここで負けるのではないか?と常に思わせる対戦相手、試合状況が続く中最後まで勝ち続けるという、考えてみるとなかなか独特なお話の作品でありました。とはいえ、次こそ負けるんじゃないかというハラハラする感じが話を盛り上げてくれていたように思えます。
そして、山野辺との戦いを終えて後まで勝ち上がっていよいよ終わりかと思った所で始まった、まさかの100年後編。これに関しては、始まった時は一体何事なのかと困惑するような展開。100年後、姿が変わっていない苺ちゃん、果たして何が起きているのかと、先の展開が気になるお話。
過去の出来事を振り返りながら描かれた100年後の人との対局の果て、対AIの竜王戦が明らかになると共に、再び不可能とも思える戦いへと赴く流れが描かれ、100年前は人の範疇での偉業の達成だった苺ちゃんの物語が、人生を賭けた偉業の達成へとよりスケールを大きくして描かれ直されたことがわかる。
二度目の竜王戦は、マッポやAI企業、シンギュラリティによるAIの進化といったお話を彩る要素が後半目立ちはしましたが、最後まで読んでみるとそれはあくまで飾りであり、本質は苺ちゃんが、どこまでも勝つために挑み続ける姿にあり、そんな彼女の生き様を描く作品であったことがよくわかるラストとなっていました。
私が週刊少年サンデーの定期購読を始めるきっかけとなった作品の一つだったこともあり、終わってしまうのは寂しい面もある。とはいえ、終わりがあればまた新しく始まる物語もあるでしょうし、次回作を楽しみに待ちたいですね。


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