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映画『Michael/マイケル』感想:ペプシ事件の衝撃と、父ジョセフの呪縛から飛び立つまでの物語

映画マイケル感想 感想文
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2026年6月12日に公開された映画『Michael/マイケル 』の感想記事です。

この記事には本作のネタバレも含みますので注意してください。

Michael/マイケル

ひたすらな彼の純粋さ

マイケルジャクソンの伝記的な作品となる本作、見ていて感じたのは、マイケル・ジャクソンのひたすらな純粋さでした。自らを取り巻く環境が変わり、スーパースターとなっても、彼が囚われているのはエンターテイナーとしての理想を貫くこと、そして、傷ついた誰かを癒したいというもの。ペプシの事件の後には、自らもボロボロなのに、それでも周りにいる火傷の患者たちの事を心配し、賠償金を全額寄付へ回すことをサラッとやってのけているのが、彼の本心を表しているように思える。

彼が憧れたのはピーターパンのいるネバーランド。大人になった彼は、その絵本をバブルス君に読ませるシーンで時々そこにいっている、という話していたことからも、つらい時に心が逃げ込める場所として彼を守り続ける特別な場所だったようです。

幼い頃の父からの暴力と自らの理想を押し付けてくる彼に、傷つき続けてきた彼だからこそ、絵本のような理想の優しい世界を作り上げたいという思いが常にそこにあったのかな、と思わせるお話でした。

ペプシ事件の強烈さ

そんな本作を見ていて一番衝撃を受けたのは、終盤に訪れたペプシの広告撮影のシーンでした。

ジョセフからの頼みで受けたジャクソンズ一家としてのワールドツアー『ビクトリーツアー』、その一環でペプシの広告のための撮影で大きな事件が起きる。

このペプシの広告の撮影のシーン、何やら光や音がそれまでと比べても異常に強烈に思えていたのですが、どうやらそれは意図したものだったようです。突然、マイケルの髪の毛が燃え上がった瞬間は、最初、映像的な演出なのかと思ってしまうほど唐突に訪れました。

髪の毛が燃え上がるという事故の中、何とか一命をとりとめたマイケルに対して、父ジャクソンはボロボロの彼をステージに立たせることを選ぶ。これまでのステージに関わる場面では、常にステージを楽しみ意気揚々とした姿で描かれていた彼が、このステージから引いた後はこれまでと比較しても明確に疲弊しているのがわかるのがつらい。

体がボロボロなままステージに立つマイケル、そんな彼の裏側を映画で見ていると感じるのは、ファンという存在の無責任さ。ひたすらに彼と共に盛り上がり、楽しむけれど、ステージに立つものの苦悩を知りはしない。しかし、マイケルにはそんなことは関係ない。ファンを愛し、どれだけボロボロでもステージの上で皆を楽しませようとするからこその、真のスーパースターなのだというのを実感させるものでした。

目を見る

本作は、マイケルが父であるジョセフの呪縛から解放されるまでを描いた物語と取ることもでき、その中でも特に印象に残ったのは、目を見て話すというもの。

思えば冒頭の幼いマイケルがジョセフの特訓を受けるシーンから、目を見ろと指導されていましたが、当時のマイケルは、特訓の中そんな父の目を最後まで見ることはありませんでした。

最後まで見てみると、その目を見る、直接父と向き合うという事が、マイケルにとってどれだけ大きな壁だったのかがわかる。

ジョセフは、自らがマイケルを見出したと自慢げに語り、思い通りにならなければ暴力をふるう。彼がいなければ、確かに今のマイケルはなかったのは事実ですが、いつのまにやら家族を自分の物であるかのように振る舞う姿は横暴がすぎる。

とはいえ、それを止められるものは誰もなく、マイケルもまたフック船長に対してフック船長と名付けていたように、幼いころから解放されたいという思いがずっとあったようです。家族を愛しているというマイケルの言葉は真実なのでしょうが、父に対して従っていたのは、それ以上に幼いころから積み上げられてきた恐怖心がそこにあったというのは間違いない。

そんなマイケルは、成長してなお、父との直接の交渉は避け、周りの大人たちに対応を任せているのが印象的。どこまでも父と向き合う事を恐れたマイケルですが、ペプシの事件を経てマイケル一家としてのライブの中、皆にツアーの終わりを告げることになりました。

このシーンのマイケルは、ステージ脇にやってきた父に対してまっすぐな瞳を向けている。これまで目を背けてきた父を、まっすぐに見据えて放ったこの言葉、幼いころからずっと囚われてきた父に対する決定的な決別として心を打つ瞬間でした。

マイケルジャクソンについて知ることになる

正直に言うとマイケル・ジャクソン自身についてはぼんやりとした知識がある程度でした。しかし、『スリラー』を描くパートでは、不意にその単語が頭に浮かんできたりと、話の展開を予感させる流れが上手く作られていました。

マイケルを演じる、ジャファー・ジャクソンも足さばきが非常に綺麗で、特に終盤の演技は動きのキレが良いという言葉の意味が実感できるものだったのが印象的。

ほとんどマイケルを知らないまま見ていても、マイケルが父への恐怖から解放され、飛び立つまでの物語として非常に完成度が高く、最後まで楽しく見ることができる作品でした。

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又三郎

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